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不動産を建てる

国税通則法の第六○条にある「延滞税」の考え方を流用して、国税等を滞納すると取られる一四・六パーセント前後に設定するか、もう少し厳しく日歩五銭程度(これだと年一八パーセント強になる)に設定しておかないと、滞納している当人はプレッシャーなどこれっぽっちも感じないだろう。 そうか、ペナルティーとは相手へのプレッシャーなんだ。
こう早合点して、「だったら滞納者の名前を、エントランスホールの掲示板にでも、でかでかと貼り出せばいいじというような意見も聞こえてくる。 実際、弁護士の中にも積極的にこの方法を推奨する先生もいるようだが、これについてはどうかと思う。
たしかに、滞納しているという事実がある限りプライバシーの侵害にはあたらないようではある。 そうはいっても、滞納者の生活の安定をすべて奪いさる危険性もあるこの種の罰則規定には賛成しかねる。
特に滞納者の家族に小さな子供でもいようものなら、その子自身が一番のサラシ者になるであろうし、イジメの対象になることは目に見えているからだ。 だいいち、サラシ者になった者がたちどころに改心して、滞納金全額耳をそろえて払ってくるとはとても思えない。
結果は、いたずらに相手の感情を逆なでするだけで事者同士による解決の糸口を自ら断ち切ることになるだろう。 管理会社の怠慢が滞納者をのさばらせるマンション運営の実務に関しては無知な集団としかいいようのないのが、ほとんどの管理組合である。

その管理組合の頼もしき参謀であるはずの管理会社が、実は物事を前向きに進める上で大きなブレーキになることだってある。 内容証明による督促にいたるまでの各業務について、管理会社は管理組合からの当初の委託内容に含まれていなくても、いわばサービスとしてダダで業務に当たっている会社が多いようだ。
つまり管理組合もしくは理事長の名のもとに業務一切を代行するのである。 ところがそれでもう穴チがあかないような場合、その先、調停を申し立てたり、支払命令について段取りを進めたり、乱実際、弁護士の先生とたびたび打ち合わせをしながらコトを進めていくような業務が発生すると棚なると、これはもう契約外の業務内容としてはっきりと「別料金です」といわざるを得なくなる。
鮒けれども現実には、「はいそれではここからはいっさい別料金にてお願いします」というように、蝿杓子定規に線引きなどできるはずがない。 どういう業務が契約に含まれているのかということさて』え、もともとほとんど把握できていない組合員にしてみれば、別料金といわれた途端に、うちのマンションの管理会社は誠意がないと決めつけてしまうだろう。
事実、正式裁判にまで進んでしまっているのに、あいかわらずサービス業務の一環として事務部代行全般をとり行なうハメに陥ってしまっている管理会社も少なくないようだ。 いくら優秀な管細理会社でも、こういうダダ働きを前提に引き受けている業務内容に関しては、抜かりなく積極的おまけにそういう使えない管理会社の推薦してきた弁護士がこれまた的ハズレの人選であったりすると、もう「お先は真っ暗」と天をあおぐしかない。
この種の事件に手慣れた優秀な先生でないと、法的な手続きひとつひとつに手間取ってしまい、どんどんムダな月日が経過、その間、さらに滞納金額はふくらむばかりというようなことにもなるのだ。 もちろん最悪、裁判というようなことになれば、裁判官が判決を下すに当たってそこにいたるまでの過程の事実確認が重要な要素となる。
ところが管理会社が怠慢で担当者がズボラだと、滞納者との打ち合わせ議事録など残っていない。 これだけ管理組合としては誠意ある請求と話し合いの場をもったにもかかわらず、滞納者の態度はいっこうに改まらなかった、ということを裁判官には十分理解してもらいたいわけだ。
それなのに、事実経過を指し示す記録が何も残っていないということがある。 滞納者というものは必ず何かしら自分なりの滞納理由を持っている。
それがいかにスジちがいにこなしてもらえるとは思えないのである。 それとは反対に、裁判の準備をテキパキと取り仕切るどころか、中には請求書による督促業務でさえ迅速に対応できないような、お粗末な事務処理能力しか備えていない管理会社も存在する。

対応が早ければ早いほど打つ手が効果的に生きてくるのがこの種の業務だ。 チンタラした対応では、滞納者に余計ナメられてしまうのがオチである。
こういう事務処理能力に欠けた管理会社にしてみれば、滞納管理費の徴収などという業務はできれば引き受けたくないということになれば人間、追い込まれればどんな言い逃れでもするものだ。 裁判官を目の前にして平然とした顔で、それこそ予想もしなかったとんでもない反論を滞納者に証言されないともかぎらない。
「あのとき管理会社の担当者ですと名乗る人が訪ねてこられて、たしかにこういったんです。 『お宅のおっしゃることはよく分かりました。
指摘された滞納理由については、私ども管理会社と理事長とで改善するように努力しますので、それまではお支払いを免除ということで検討するように理事長に申し伝えます』。 こういって帰って行かれたんですから、連絡があるまで支払わないのは当然じゃないですか」このような根も葉もない証言に対しても、当日の打ち合わせ議事録をもって臨めば、相手の矛盾を突くのはたやすいだろう。
相手の証言内容を明確に否定できるような当時の記録が残っているか否かで、裁判のその後の進捗状況に雲泥の差が出てしまうのだ。 であろうと、手前勝手な屈理屈であろうと、面と向かって催促すれば自分を正当化する理屈をこれるものなのだ。
管理会社の日常業務に不満があるとか、理事長の態度が気にくわないとか、管理費滞納とは本来まったく関係のない内容でも、自分の行動を正当化するための手段としてゴタクを並べて支払いを拒否するのである。 滞納者に接した管理会社の担当者は、相手の主張をきっぱりと否定するだけでなく、その場のやりとりをコト細かに記録しておかなければならない。
そうしておかないと、いざ裁判ということになったときに、原告として裁判官に明確な説明ができないというようなことも起こるのである管理会社はフィーを請求できないようなサービス業務であろうと、苦手な業務であろうと、組合員には嫌な顔ひとつ見せられない弱い立場なのである。 かれらの置かれたこういう状況とそのウラに隠された本音を洞察せず、理事長をはじめほとんどの組合員は、その意見に百パーセント耳を傾けてしまう。
管理会社の担当者がプロとしての意見を述べれば、組合員全体の意向はそのまま彼の発言になびいてしまう。 正義感あふれる前向きな担当者から、「これはもう、今後滞納者が続出しないための見せしめとして、裁判でも何でもとことんやるべといわれれば、そうかもしれませんねえ、ということになる。
ところがこれがまったく逆に、自分の仕事を増やしたくないということだけを願って止まないような怠惰な担当者から、「裁判なんて結局はおカネと労力のムダですからね。 こんな程度の滞納金は会計上、損金で処理しちゃった方がはるかに利口ですよ」といわれればこれまた、そうですよね、ということになってしまうのだ。


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